ディーナ・ヨッフェのCD
このところずっと聴き続けているCDがあります。
先のショパンコンクールで審査員をされていたディーナ・ヨッフェの「スクリャービンとショパンの前奏曲集」。
1番から、スクリャービン、ショパンと交互に演奏していて5度圏で進んでいくのですが、これが新鮮で独特な世界観!
先に後の時代のスクリャービンを弾くところが面白い。ショパンの前奏曲に影響を受けてスクリャービンが作曲したのですから、この順が正しいのでしょうが、同じ調で並べて聴くと、不思議なくらい違和感なく調和しているのです。
そして、なによりも第一音から、演奏の豊かな音楽にハッと魅了されました。CDであまりないことです。ロシアのゴルノスタエヴァ先生にご師事されていたとのことで、納得です。
とても豊かで、音楽が歌っていて、表情が他の誰とも違う。
実はこのCD、昨年ポーランドで、カワイの技術者の方からいただきました。ありがとうございます。数年前にこのプログラムでカワイのホールで何度かコンサートがあったようです。恥ずかしながら知りませんでした。
また来日されないかなぁ。
「老後とピアノ」
新聞で紹介されており、清水ミチコさんと恩田陸さんの帯の推薦文に惹かれ購入。
朝日新聞社を50才で退職されてから子供の時に投げ出したピアノを再開し、その途上での苦労や喜びを書かれたものです。
昨日打ったワクチンで発熱、しんどい中一気に読みました。笑
ピアノに関わるすべての人にとって、吹き出したり、頷いたり、考えさせられたりする本だと思いました。
私はピアノ教師の立場と、老いが追いかけてくる一ピアノ愛好者としての両方の立場から、とても興味深く読みました。
まだ読んでない方もおいでかと思うので詳しくは書きませんが、この本は教室の見えるところに置いておきたいと思います。^_^
小さい生徒さんはそんな気持ちなんだなと思ったのが、「指使い」。
子供の頃は自由に弾きたい気持ちをじゃまする七面倒くさい規則でしかなかったのが、先人の知恵が詰まっているルールには意味があるのだと作者が気づくくだり。
レッスンで何度も何度も、とまったり、うまくいかない90%は指使いなんだよ〜と直したところで、聞きやしない生徒さん、おりますです。はい。笑 気持ちはわかるけどね。
もちろん中には、瞬時に次で別の上手く繋げる指使いを開発し止まらずにさらりとスルー出来るお子さんもいます。これは私的にはOK。こちらもスルーします。笑
お休みの日
現在我が家をリフォーム中。今日は一階の部分的な工事があり、音を考えるとレッスンにならないなと、はじめからお休みにしていただいていました。
遠方に住む父と毎日FaceTimeはしているのですが、いつもはなかなかゆっくり話せない午後の時間帯に、のんびりと話ができました。
98歳になる父。日によって記憶の調子の良い時とあやしい時と、波があるけど、今日はすこぶるいい調子!
学生時代の行きつけの古本屋さんの思い出に始まり、故郷のお祭り、物のない時代にご馳走してもらったお菓子の事、母と会う前の話などなど。
私もまたいつ聞けるかわからない、身近な家族にとっては貴重な話を、メモをとりながら相槌。
気が付くと2時間経っていました。
いつもは忙しい私を気遣って、短く済まそうとする父ですが、トンカン、工事の音をバックグラウンドに、ゆっくりと懐かしい話ができて、父も頭の活性化ができたとご機嫌でした。
私もそんな時間が持て、本当に嬉しかった。