25th 1月
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『日本のクラシック音楽は歪んでいる』
面白い新書を読みました。
『日本のクラシック音楽は歪んでいる』
よくYahoo!ニュースに載っている「世界大学ランキング100位」の音楽版に、芸大、桐朋はじめ、日本のすべての音大が一つも入っていない現実。西洋の芸術を学ぶにも関わらず、言語の壁で世界とつながれない。世界から日本に学びに来る人がいない。
日本の音楽大学、音楽教育のおかしな所を、理由と考えを述べて批判しています。
冒頭は、誰もが気づいているのに、検証もされず、大きな声で言えなかった「あの白い楽譜」に関してなど。
いまだにそれしか使っていない音楽教師が一定数いることを考えると、ちゃんとこうしてプロが批判することは大事だと思います。
ヨーロッパでの短期間の新即物主義のまさにその時の2年にも満たない渡欧のみで、その後一度も渡欧せず、50冊近い楽譜を「校訂」する事の無謀と、その新即物主義の時代の音楽しか知らずにそれを西洋の正当なものとして日本に広め、はっきりと検証や批判をしてこなかった権威主義の罪は重いと思う。
時代を考えると、同じようなことは沢山あると思うけれど。
多分、日本に頼らず生きていける著者ならではの、歯に衣着せぬ論調。サッカー界の本田圭佑のよう。
個人的には、邦楽のルーツに関して知らないことが沢山あり、とても興味深かった。
一昨年出版された『音大崩壊』という本の中にも、似たような話がありました。日本の音楽専門教育は岐路に来ているという事を、関係者以外の周りの人たちも気づき始めたところなのかな。